製作総指揮は角川春樹、テムジン(後のチンギス・ハーン)には反町隆史を起用

サウンドトラックの写真です

原作である森村誠一の「地果て海尽きるまで 小説チンギス汗」をベースとして、構想27年、総製作費30億円、4ヶ月に渡るモンゴルロケを敢行して完成した一大スペクタクル。

近年増えてきたCGによる描写を極力排除した生の映像を撮りたいという角川春樹(製作総指揮)の意志のもと、モンゴル草原の戦闘シーンでは5000頭の馬(1頭10万円)を用意。CGに頼らない本物の戦闘シーンの迫力は、榎木孝明(渡辺謙が病気のため急遽変更)の主演で上杉謙信の生涯を描いた角川映画「天と地と(1990年)」を髣髴とさせる。

また物語のハイライトであるテムジンの即位式には前代未聞の27000人のエキストラが参加している。モンゴルとの合作でもある本作では、ロケ地での撮影を円滑に行うため3000人もの現役モンゴル軍兵士が協力している。チンギス・ハーンの生まれ変わりを自認しる角川春樹の、本作品にかける並々ならぬ情熱が伝わってくる。

主人公のテムジン(後のチンギス・ハーン)には、その男気溢れる演技で代表作「男たちの大和 / YAMATO」をはじめ、数々の映画やドラマで主演を務めてきた反町隆史を起用。自らの出生の秘密にまつわる苦悩、自らと同じ宿命を背負って生まれきた息子への愛と憎しみ、生涯の友情を誓った友との対立と裏切り、略奪された妻との愛するがゆえの葛藤を見事に表現している。

母親(ホエルン)役の若村麻由美は娘役から老け役までを一人でこなしており、父の死、新しい族長からの迫害、家族の結束を壊す義理の弟の抹殺など一族に降りかかる過酷な運命を乗り越える力強い女性を熱演している。「蒼き狼の血が殺戮者の血なら、そんな血などいらぬ!」は本作品で登場する名台詞のひとつ。

テムジンの妻(ボルテ)役には菊川怜、将来の夢を語り合い、生涯の友情を守る“按達の誓い”を交すものの、やがて宿敵となるジャムカには平山祐介、出番は少ないもののクライマックスで親子の悲劇を演じることになる息子役のジュチには松山ケンイチを起用。

メルキトの残党女兵士として捕虜になるものの、その器量がテムジンに気に入られて、側室となるクランには韓国出身の大型新人Araを抜擢している。彼女はこの役を射止めるにあたり、角川春樹事務所×エイベックスが開催した“女優オーディション”で、応募総数約40,000通の中からグランプリに選ばれている。

そのほか親友にして信頼のおける部下、腹心ボオルチュには野村祐人、娘ボルテをテムジンに嫁がせ、弱小勢力だったモンゴルの後ろ盾としてテムジンを支えるデイ・セチュン役に榎木孝明、テムジンと同盟関係にあるが、後にジャムカに乗せられテムジン勢を攻撃するケレイトの王トオリル・カンに松方弘樹を配するなど、脇を固める役者陣も豪華なものになっている。

演出はベテランの澤井信一郎監督。ハーンの母親(若村麻由美)のモノローグ形式でドラマを進めることにより、戦乱の時代を従来の「男の目線」ではなく、「女の目線」として作品を成立させようとする演出は、流石、薬師丸ひろ子主演の「Wの悲劇」や吉永小百合の「時雨の記」など、女性の演出で知られる監督だけある。