モンゴル建国の英雄チンギス・ハーンの生涯を描いた歴史スペクタクル

CGを極力排除した迫力のある映像

舞台は大小さまざまな部族が、勢力拡大を巡って戦いを繰り返していた12世紀のモンゴル―。
ボルジギン氏族の長イェスゲイ(保阪尚希)は一族の傍系に属していたが、数々の武勲でバアトル(勇者)の称号を与えられ、有力部族連合ケレイトの王トオリル(松方弘樹)と同盟関係を結びながら、一代でその勢力を急速に拡大していた。

彼はボルジギン氏族の仇敵であるメルキト族の男の妻ホエルン(若村麻由美)を奪い自分の妻とする。1162年、そのホエルンが待望の長男(後のチンギス・ハーン)を産んだ。出産の直前にイェスゲイはタタル部族の首長であるテムジン・ウゲの軍勢を打ち破ったことから、子供にテムジンと名付けた。

彼らの始祖である“蒼き狼”の生まれ変わりとして、部族の期待を一身に背負うテムジンは、幼くして将来の花嫁候補となる女性を探すために母方の一族であるコンギラト部族が住む地方へ旅に出る。そこで出逢った美しい娘ボルテに心を奪われたテムジンは、ボルテと将来結婚することを誓い合い、またボルテの友人であるジャムカとは生涯の友情を誓い合うのだった。

しかし、テムジンが14歳の時、父イェスゲイがタタル族に毒殺されてしまう。イェスゲイの後を継いだ新しい族長は、テムジンに仇敵メルキト族の血が流れているという理由から、非情にもテムジン一家を部族から見捨ててしまう。配下の多くが去ったなか、イェスゲイ家の管理権を握った母ホエルンは、苦しい状況の中でも幼い子供たちを懸命に育てるのだった…。

時は流れて1183年、苦難を乗り越え、優れた指導者に成長していたテムジン(反町隆史)は、7年ぶりにボルテ(菊川怜)と再会を果たし、結婚する。しかし、結婚からわずか2年後、メルキト部族連合の王トクトア・ベキ率いる軍勢の急襲を受けたテムジンは、愛するボルテを奪われてしまう。

テムジンは亡き父の同盟者や盟友であるジャムカ(平山祐介)の軍勢の力を借りて、ボルテの奪還を成功させるが、その時彼女は既に臨月を迎えていた。やがて男子が生まれるが、屈折した思いを抱えたテムジンはその子にジュチ(よそ者を意味する言葉)と名づける。

メルキトによる襲撃の後、ジャムカの助けを得て勢力を盛り返したテムジンは、次第にモンゴル部の中で一目置かれる有力者となっていった。味方だけではなく敵に対しても寛大な態度を示すテムジンは、優れた指導者と目されるようになり、かつて父に仕えていた戦士や、ジャムカやタイチウト氏のもとに身を寄せていた遊牧民が、次々にテムジンのもとに投ずるようになった。

しかし、長きに渡って盟友としてテムジンと行動を共にしてきたジャムカはそんな彼を素直に受け止められない。「モンゴルの王になるのは自分だ―」いつしかそんな野心が芽生えていたジャムカは、テムジンを裏切り、軍勢を率いて攻撃を仕掛けるのだった。

不意を突かれたテムジン勢は一時劣勢に追いやられたが、敵の油断に乗じて奇襲を仕掛けて、形勢をひっくり返す。囚われの身となりテムジンの前に引き出されたジャムカは「親友(=テムジン)の手にかかって死にたい」と懇願する。幼き頃から苦楽を共にしたジャムカを前に、テムジンは万感の思いを込めて剣を振り上げる―。

こうして1206年、白いフェルトの絨毯が敷き詰めらた小高い丘の上に大天幕を張り、近隣諸国からの賓客、親衛隊、諸部族の人々が見守るなか、テムジンの即位式が開かれる。遂にモンゴル王チンギス・ハーンが誕生したのである。着々と帝国の建国を進めるチンギス・ハーンは、中国の金朝を倒すため、北方遠征を任せていた息子ジュチ(松山ケンイチ)を呼び戻そうとする。しかし、ジュチは命令に従わずに戻る気配を見せない。そればかりか父に反旗を翻したという噂までが聞こえてくる。

謀反の報に怒ったチンギスは自ら軍勢を率いてジュチのもとを訪ねるが、そのとき彼は病で瀕死の状態だった。父親を慮ってそれをあえて知らさなかったことを知ったチンギスは、子の心を理解しようとしなかった己を恥じ、死に行く息子を前に嗚咽する。そして、チンギスは息子への思いを秘めながらついに金朝への遠征を開始するのだった―。